高血圧症とは血管の中の圧(血圧)が慢性的に高い事によって、血管が傷つき動脈硬化が進んだり、心疾患や脳卒中、腎疾患などの臓器障害を引き起こす疾患を言います。
高血圧症は無症状ですが、前述の通り気がつかない間に全身の血管や臓器にダメージを与え続けるため毎日の管理が重要となります。
高血圧症は診察室血圧140/90mmHg以上で診断されますが、当院では高血圧治療ガイドラインに準じ、診断および治療に家庭血圧測定を重視します。血圧は測定時の体調や直前の運動、気温(室温)、精神状態などで容易に変動するためです。家庭血圧の測定は普段の血圧は問題ないのに病院で血圧が高くなる「白衣高血圧」や、普段の血圧は高いにも関わらず病院での血圧が正常値として出る「仮面高血圧」を診断するのに役立ち、不要な降圧薬の処方や不十分な降圧管理を解消します。何より、家庭血圧は診察室血圧に比べ脳卒中の発症をより鋭敏に予知できたという研究結果が出ています。私達は皆さんの「血圧をコントロールする事」でなく、「血圧をコントロールした先に寿命、健康寿命が長くなる事」を目指しています。
血圧は測定方法が重要となります。初めて血圧測定をされる方には詳しく説明させて頂きますが、以前説明を受けた方でもご不明な点があればお気軽にお声かけ下さい。
高血圧治療の中心は食事療法と運動療法です。これらを行ってもコントロール不十分な患者さんには降圧薬の内服をお勧めします。降圧薬は基礎疾患や血圧の日内変動、気温などに合わせて細かく調整していきます。また、飲みやすさの観点からなるべく合剤(2-3種類の薬を1剤にまとめた薬)を処方します。